こんにちは、やまだみのるです。
このページは、毎日句会『みのる選』の中から特に優れた作品を再選して纏めたものです。
高浜虚子先生は、「選は創作なり」 と言われました。
選集の一句一句は、会員のみなさんの作品です。けれども、この選集全体を通して読者のみなさんに何かを感じ取っていただけるなら、即ちそれは みのるの創作であり、「ゴスペル俳句の進むべき道」 を示しているものと確信いたします。
お隣さん採らないのかしら琵琶たわわ 菜々 湯ほてりに風心地よき蛍狩 なつき 雨蛙ポストの上に平伏す とろうち 緑陰のベンチで二人句会かな よし女 風吹けば珠を転がす蓮広葉 百合 わが視線わかりて毛虫動かざる 有香 老鶯の正調に杣明けにけり ともえ 蛍とぶひかりの音符散らすごと よし子 八つ橋に傘渋滞す菖蒲園 満天 梅雨茸賽の河原に勢揃ひ うつぎ 衣更へて義手のかろしと庭へ出づ 雅流 一握り庭に得たると豆ごはん 菜々 閉園の蛍の光薔薇夕べ はく子 (13句)
吊り橋は空中散歩峪若葉 うつぎ 二の腕に迷ひし蟻をひと吹きに なつき 杉玉の古りたる軒に燕来る こすもす 囀りやモールス符号めくは何 よし女 交番の灯ともりどきや夕蛙 うつぎ 万事休筍の先剥きすぎて ともえ 神宿る飛鳥の奇岩木下闇 明日香 寧かれと祈れば廻る風車 よし女 田水張る水口おしゃべりするごとし 雅流 傘寿吾になほある未来更衣 三刀 大けやき息ふきかえすごと芽吹く 有香 (11句)
観覧車廻るともなく花の雲 よし女 のどけしや臍丸出しの逆上がり 花茗荷 花頭窓開けて仏へ花明り 菜々 道祖神みそなはす野に遊びけり 雅流 露天湯へ母の手を引く朧かな うつぎ 春愁や知友の訃報うべなへず せいじ 四月馬鹿回転ドアと息合はず 菜々 見送りを終えし埠頭の春惜しむ わかば 哲学の道ゆく吾に花吹雪 満天 踏むに惜し落花畳の遊歩道 ひかり 磴登る花の二の丸三の丸 よう子 いななきの連鎖反応牧の春 宏虎 瀬洗ひの小石大石風光る つくし 町おぼろ団地百棟灯点りて 菜々 春風に乗せて船頭唄ひけり せいじ 霾や音はすれども機影見ず 雅流 (16句)
前列に赤札並ぶ植木市 つくし あんぐりと古墳口開く梅の丘 うつぎ わが机辺さながら獺の祭かな 百姓 読みがたきかな釘文字や苗木売る なつき 啓蟄のデパ地下に人あふれけり 満天 (5句)
おしやベリのはなさく午後のホットレモン 英子 と見る間に街白変す春の雪 明日香 ふらここや靴裏天に突き出して ぽんこ 七堂へ雪解のしずく合奏す 菜々 隣りあふ足湯の縁や遍路どち よう子 濯ぎもの凍てて吹く風いなしをり はく子 (6句)
点滴に生命つながれ春を待つ はく子 箸先に黄身の弾力寒たまご 菜々 審判の居ぬ草野球初喧嘩 せいじ 北風に背を向けて立つガードマン 英子 貸靴の癖にスケートままならず なつき 霜柱地団太踏みて物干しへ あさこ いつの世も恋は変はらじ歌がるた とろうち 柏手に飛び翔つ鳩や初詣 うつぎ 雲切れて天使のはしご初御空 花茗荷 夫の靴磨き初めたる四日かな とろうち 風邪の夫厨をそっとのぞきけり 満天 (11句)
お詫び:2001年9月以降は、作業できていません。
幾たびも覗くポストやいわし雲 初凪 嫁ぐ娘と肩をならべし良夜かな 寅 長き夜の犬も寝言を洩らしけり 初凪 待ち人の遅しと日傘回しけり 彩女 台風来羽化に迷いのなかりけり 志乃 朝露に励ます試歩の第一歩 青々 秋の蚊や右足で掻く左足 初凪 雲迅く二百十日を告げにけり 縄文 灯取虫ヘッドライトに八つ当たり 彩女 一病のほかは息災秋刀魚焼く 志乃 秋草やからゆきさんの墓小さし みすず 長子としこの町出でず盆を守る 初凪 秋暑し五叉路に道を迷ひけり 初凪 大根蒔く盗人烏睨みつけ 志乃 青瓢太る隣は旅行中 彩女 ボランティアねぎらはれゐる土用餅 寅 (17句/累計126句)
ナイターのメガホン振ればうちとけて 寅 のど仏ごくりと麦茶飲み干せり 初凪 水打てば生まれる風のありにけり 紀美子 覗かれて冷える間の無き冷蔵庫 ゆうこ 油蝉つぶてとなりて落ちにけり 志乃 片陰の猫半眼に眠りけり 縄文 急告す即刻閉めよ冷蔵庫 初凪 百本の足踏み揃ふ荒神輿 青々 デザートに書かれし名前冷蔵庫 ゆうこ 爆竹のごと路はねて夕立来る 千秋 ナイターの贔屓まければ早寝して 志乃 帰省子の大の字となる座敷かな 東吾 夜濯ぎの桶に広げし十指かな さらさ 紫蘇揉みし五指は鬼の手ながらに 志乃 日盛りの漁港は眠るごとくなり 初凪 子ら帰り果てしグランド夕焼くる こだま 鉄棒の少年一人夕焼雲 かへで あつあつのコーヒー飲んで暑に耐ふる 牡丹 白浴衣うなじにホクロ見えにけり さらさ (19句/累計109句)
売り声の威勢につられ鰹買ふ 青々 花びらがVサインして百合開く 初凪 庭涼し伊予の石なる手水鉢 みすず すれ違ふ会釈涼しき和服かな さらさ 砂を噴きあげる伏流涼しけれ 牡丹 幕間のにはかに動く扇かな 志乃 ひまわりのひた向く空を吾も仰ぐ 三十 暑き声電線工に飛びにけり 東吾 飽食の毛虫花には目もくれず 初凪 これほどの殻にソラマメふたつだけ 彩女 梅雨冷や相見せ合へる処方箋 こだま 水中花三日といへぬ水の減り 志乃 スリッパの飛んで来るなり油虫 東吾 夫元気山葵に泣いて鮨食ぶる 初凪 たはやすく鮎の骨抜け川床涼し 志乃 梅雨憂しや荷台の牛と視線合ひ かへで 雨音にあらで蚕が桑を食ぶ 志乃 囀りのごと女生徒らおしゃべりす 三十 おはようと言ひて笑われ昼寝覚 ゆうこ 立ち並ぶケルンに尾根の霧深し ゆり子 あめんぼう風にうながされて進む みすず 雲の峰見下ろす尾根に立てりけり ゆり子 豆腐屋の喇叭に覚めし昼寝かな みすず 万緑にゆっくりと昼飯を食ふ 三十 毛虫焼く女の貌の青ざめて 志乃 星屑を集めしごとく額の花 光晴 スケッチの画帳に青葉時雨かな 桑 (27句/累計90句)
満ち満ちてきたる代田の水匂ふ 青々 けふの眉勝気に引いて更衣 初凪 よしきりの声はすれども葦揺れず みすず 作業着に春泥彼が社長とは 初凪 稚児行列とぎれがちなる薄暑かな ゆうこ 試歩の杖励ましくれば桐の花 青々 揚げ舟に届かむと寄す卯波かな 初凪 糠雨を珠玉と溜めし蜘蛛の網 縄文 積まれたる剪定屑に柚子匂ふ 彩女 灯の残る高速高架朝焼くる げんた 植木鉢天地返せばかたつむり 彩女 遠雷に寝てゐし猫の耳動く 光晴 名も知らぬ異国の大樹墓地涼し げんた 立ち上がる波にサーファー躍りけり ゆり子 蝿をかし誤字のあたりをうろうろす 志乃 と見る間に雷雲に追ひ越されけり 初凪 来客に新茶振舞ふ資料館 芙美子 病む友と半分頒けに氷菓食ぶ 初凪 余生とて新樹の如く輝かむ 光晴 雷鳴に度胆抜かるる厠かな みのる (20句/累計73句)
四つ辻に来て遠足の列縮む 東吾 木の芽風古代遺跡に憩ひけり げんた 四月馬鹿猫のあくびを貰ふとは 志乃 沢わさび育てつつ水逸りけり 志乃 犬小屋に鼻の出てゐる春の月 東吾 花嫁のヴェールに桜吹雪かな さらさ 屋台そば啜る女のサングラス 志乃 トラックの尻が割り込む苗木市 東吾 春愁や病室の窓はめごろし 初凪 トレモロの楽に屋根打つ春の雨 みすず こぼれつつ満開の藤匂ひけり 牡丹 朱の欄にうちかぶさりし若楓 みのる (12句/累計53句)
大鯉を釣り上げにけり草蓬 げんた 春愁や身の丈ほどのファクス来て 志乃 桟橋の藤壷洗ふ春の波 光晴 春一番通勤ダイヤ乱しけり さらさ 啓蟄の東京駅に迷ひけり さらさ 啓蟄の芝生に目土たっぷりと ちかこ 路地遠くより竿売りの声長閑 げんた 一年生呪文の如く九九唱ふ ちかこ 恙無き母の暮らしや冬菜干す こだま 麗らかや六本木から御苑まで げんた 雁行を指差して子と見送りぬ 芙美子 ころころとよく笑う娘や家の春 高味弘子 白木蓮夜来の雨に崩れけり 文香 春愁や檻のゴリラに見つめられ 志乃 サッカーの剃刀シュート風光る こだま 今閉じし頁を探す春の雷 東吾 子ら駈くる春風シャツにはらませて みすず まどろみと現の境初音聞く こだま 初蝶来幼稚園児の輪の中へ 青々 捨てられし剪定屑の梅匂ふ みのる (20句/累計41句)
直線の影落としたる梅の枝 光晴 土を割る一点の黄は福寿草 光晴 雪の原へと愛犬を放ちけり げんた 甲羅乾しする貸しボート春隣 げんた 家軋む音のしきりに深雪積む しの 霜柱踏み鳴らしつつ峠越ゆ げんた 石の上に湯ほてりさます雪見かな 志乃 洗濯物たたみながらの日向ぼこ きくえ 補助輪をはずされし子に山笑ふ さらさ たちのぼる湯気より影の濃かりけり 志乃 きらめくは春の川面の稚魚の群 光晴 雲の海抜けし機窓に春日燦 げんた ふところに年金手帳春寒し げんた 壷焼きの匂ふ足下は日本海 志乃 うたた寝に晩鐘遠し春炬燵 文香 春寒の人体模型抱きあひ 志乃 啓蟄や迂回路もまた工事中 志乃 路地裏に恋を占ふ春灯 みのる (18句/21句)
天国の扉どのへん秋高し 亜弓 萩叢の揺れては塚に屑こぼす ちかこ 水底に動くは魚影薄もみじ げんた (3句)
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